「インスペクション」という言葉を、不動産会社から突然言われて戸惑っていませんか?
「また費用がかかるのか…」
「本当に必要なのか、それとも業者の儲けのための仕組みでは?」
「専門用語ばかりで、正直よく分からない」
そんな不安を抱えながら、この記事にたどり着いたあなたへ。
私たちは和歌山で30年以上、空き家問題に向き合ってきました。相続した実家の売却を検討される方から、「インスペクションって何ですか?」「やらないとダメなんですか?」というご相談を数多くいただいてきました。
特に、公務員として長年勤められてきた方々からは、「慎重に判断したい」「家族にきちんと説明できる材料がほしい」というお声をよくお聞きします。
この記事では、専門用語を使わず、図や表を交えながら、インスペクションとは何か、なぜ今注目されているのか、あなたの空き家に本当に必要なのかを、分かりやすく解説します。
読み終える頃には、「インスペクションの意味が分かった」「自分で判断できそうだ」「妻や家族にも説明できる」と感じていただけるはずです。
この記事で分かること:
- インスペクション(住宅診断)の基本的な意味と目的
- 法改正の背景と、なぜ業者が勧めるのか
- 費用相場(5〜7万円)、調査時間(2〜3時間)などの具体的な情報
- あなたの空き家に必要かどうかを判断するチェックリスト
- 和歌山の実例と、よくある誤解の解消
無理に売る必要はありません。まずは、正しい知識を身につけて、納得のいく判断をするための第一歩を踏み出しましょう。
もくじ
インスペクションとは?専門家が住宅の状態を客観的に調査する仕組み
インスペクション(住宅診断)とは、建築士などの専門家が、住宅の劣化状況や欠陥の有無を目視・計測で調査することです。
簡単に言えば、「家の健康診断」のようなもの。人間ドックで体の状態をチェックするように、建物の現状を専門家の目で確認し、報告書にまとめてもらう仕組みです。
インスペクションの目的
インスペクションの主な目的は、売主・買主双方が安心して取引できる環境を整えることです。
- 売主側:建物の状態を事前に把握し、適切に開示することで、売却後のトラブルを防げる
- 買主側:購入前に建物の状態を知ることで、安心して購入判断ができる
重要なのは、インスペクションは義務ではないという点です。「やらなければならない」わけではありませんが、近年、多くの方が活用されています。
インスペクションの全体像
インスペクションは、以下のような流れで進みます:
【インスペクションの流れ】
1. 業者選定・依頼
↓
2. 現地調査(2〜3時間)
↓
3. 報告書の作成・受領
↓
4. 売却活動時に報告書を活用
↓
5. 買主への説明・安心感の提供
この流れを理解しておくことで、「何をされるのか分からない」という不安を解消できます。
なぜ今、インスペクションが注目されているのか?
「業者が勧めるのは、また儲けるためでは?」と思われるかもしれません。しかし、インスペクションが注目されている背景には、国の施策と市場の変化があります。
2018年の法改正:説明が義務化された背景
2018年4月の宅建業法改正により、不動産会社は売買契約時に「インスペクションの実施有無」を説明することが義務付けられました。
これは、中古住宅市場の透明性を高め、買主が安心して購入できる環境を整えるための国の施策です。
つまり、「業者が儲けるための仕組み」ではなく、国が推奨する消費者保護の制度なのです。
法改正の目的は以下の通りです:
- 中古住宅の流通促進
- 売主・買主間のトラブル減少
- 建物状態の「見える化」による市場の活性化
買主側のニーズ変化
近年、買主側の意識も大きく変化しています。
- 住宅ローン控除や既存住宅売買瑕疵保険の利用条件として、インスペクションの実施が求められるケースが増加
- 「インスペクション済み」の物件を優先的に検討する買主が増えている
- 実施していない物件は、選択肢から外れるリスクがある
つまり、「やった方が有利」というより、「やらないことのリスクが高まっている」状況と言えます。
和歌山の空き家事情との関連性
和歌山県では、築30年以上の空き家が全体の約6割を占めています(※総務省「住宅・土地統計調査」2018年を基に推定)。
こうした物件には、以下のような特徴があります:
- 外観からは分からない劣化(床下の腐食、シロアリ被害など)が潜んでいる可能性が高い
- 買主が住宅ローンを組む際、金融機関から建物状態の確認を求められることが多い
- 「現状有姿(そのままの状態)」での売却でも、重大な欠陥を隠していた場合は契約不適合責任を問われる
特に相続した空き家の場合、「両親がどのようにメンテナンスしていたか分からない」というケースも多く、インスペクションで現状を把握することが重要になっています。
インスペクションで解消できる3つの不安
相続した空き家を売却する際、多くの方が以下のような不安を抱えています。インスペクションは、これらの不安を具体的に解消できる手段です。
①「雨漏りや欠陥があったら、売却後にクレームが来るのでは?」
解消方法:
調査報告書により、現状の劣化箇所を事前に把握・開示できます。
例えば、「2階天井に雨漏りの跡がある」ことが報告書で明らかになった場合、売却前に補修するか、そのまま開示して価格に反映させるか、選択できます。
「知らなかった」では済まされないリスクを回避できるのが、最大のメリットです。
②「適正価格が分からない。安く買い叩かれないか?」
解消方法:
建物の状態が明確になることで、価格交渉の根拠が持てます。
「築35年だから価値がない」と言われても、インスペクションで「基礎・構造に問題なし」という結果が出ていれば、「状態は良好です」と反論できます。
逆に、劣化箇所が見つかった場合も、「この部分の補修費用を考慮して価格設定しています」と説明できるため、値下げ圧力を軽減できます。
③「業者の言いなりになって、損をしないか?」
解消方法:
第三者の専門家(建築士等)による客観的な診断があることで、業者の説明の妥当性を判断できます。
例えば、不動産会社から「この物件は状態が悪いので、相場より安くなります」と言われた場合、インスペクション報告書があれば、その説明が妥当かどうかを確認できます。
「業者の言うことが本当か分からない」という不安を、客観的なデータで解消できるのです。
実際のインスペクションの流れと内容
「具体的に何をするのか」が分からないと、不安は消えません。ここでは、実際の調査内容、費用、時間について詳しく解説します。
調査内容(一般的な例)
インスペクションでは、以下のような箇所を調査します:
| 調査箇所 | 確認項目 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 外部 | 基礎のひび割れ、外壁の劣化、屋根の状態 | 約30分 |
| 内部 | 床の傾き、壁・天井の雨漏り跡、建具の開閉 | 約60分 |
| 床下 | 土台の腐食、シロアリ被害、湿気の状態 | 約30分 |
| 小屋裏 | 雨漏り跡、断熱材の状態、換気状況 | 約30分 |
合計:約2〜3時間(物件規模により変動)
調査は目視と計測器を使った非破壊検査が中心です。壁を壊したり、床を剥がしたりすることはありません。
費用相場
和歌山県内の相場は以下の通りです:
- 一戸建て(100㎡程度):5〜7万円
- 詳細調査(機材使用):10〜15万円
※業者により異なります。複数社から見積もりを取ることをお勧めします。
「5〜7万円は高い」と感じるかもしれませんが、売却後のトラブルで数十万〜数百万円の損害賠償を請求されるリスクと比較すると、「保険」として妥当な金額と言えます。
報告書のイメージ
調査後、以下のような報告書が発行されます:
【劣化事象の有無】
✓ 基礎:ひび割れ(幅0.3mm)あり → 経過観察レベル
✓ 外壁:一部塗装剥離 → 補修推奨
✓ 屋根:瓦のズレなし → 良好
✓ 床下:シロアリ被害なし → 良好
✓ 雨漏り跡:2階天井に変色あり → 要補修
【総合評価】
現時点で重大な欠陥は認められないが、
外壁塗装と雨漏り箇所の補修を推奨。
この報告書があることで:
- 買主への説明が具体的にできる(「雨漏りの跡はありますが、原因は特定済みで補修済みです」など)
- 家族(妻)への説明材料になる(「専門家が問題ないと言っている」という客観的根拠)
- 売却後のトラブル回避(「知らなかった」という言い訳が通用しなくなる前に、事前開示できる)
立ち会いの必要性
基本的に、調査当日は立ち会いが推奨されます。ただし、以下のような対応も可能です:
- 鍵の受け渡しのみで調査を依頼(事前に業者と相談)
- 代理人(親族や不動産会社)に立ち会いを依頼
- 調査後に報告を受ける形式
「和歌山の実家まで何度も行くのは大変」という方は、業者に相談してみてください。多くの業者が柔軟に対応してくれます。
和歌山の実例:公務員Aさんのケース
ここで、実際にインスペクションを実施された方の事例をご紹介します。
状況
- 年齢・職業:54歳・地方公務員
- 物件:築32年の実家(木造2階建て)を相続
- 悩み:固定資産税(年12万円)と草刈りの負担に悩んでいた
- きっかけ:不動産会社から「インスペクションをしましょう」と提案され、当初は「また費用がかかるのか…」と躊躇
実施後の変化
- 費用:6.5万円
- 結果:「床下に軽微なシロアリ被害の痕跡あり(駆除済み)」と判明
- 対応:報告書を添えて売却活動を開始
- 成約:買主から「状態が明確で安心」と評価され、当初の希望価格(1,200万円)で成約
Aさんの感想
「最初は『本当に必要?』と思ったけど、やっておいて良かった。妻にも『ちゃんと調べた上で売った』と説明できたし、売却後に何か言われる不安がなくなった。6.5万円は決して安くないけど、安心を買ったと思えば納得できる金額だった」
このように、同じような悩みを持つ方が、実際にインスペクションで安心を得ている事例は少なくありません。
相続した空き家の売却について、より詳しく知りたい方は「トラブル回避!相続した家の売却前に知るべき情報を徹底解説」もご参照ください。
よくある誤解と真実
インスペクションについて、以下のような誤解を持たれている方が多くいらっしゃいます。ここで、真実をお伝えします。
誤解①「インスペクションをすると、欠陥が見つかって売れなくなる」
真実:
欠陥を隠して売る方がリスク大です。
売却後に重大な欠陥が見つかった場合、契約不適合責任を問われ、損害賠償や契約解除を求められる可能性があります。
事前に把握し、適切に開示・対応することで、かえって買主からの信頼性が高まります。「この売主は誠実だ」と評価され、スムーズな取引に繋がるケースも多いのです。
誤解②「古い家だから、どうせ悪い結果しか出ない」
真実:
築年数と劣化状況は必ずしも一致しません。
適切にメンテナンスされていれば、築30年以上でも良好な評価を得られることがあります。逆に、築浅でも雨漏りやシロアリ被害があるケースもあります。
「古いから価値がない」と決めつけず、まずは現状を把握することが大切です。
誤解③「費用がもったいない」
真実:
売却価格の維持・トラブル回避のコストと比較すると、5〜7万円は妥当な「保険料」です。
例えば、インスペクションをせずに売却し、後から雨漏りが発覚した場合:
- 補修費用:50〜100万円
- 損害賠償:数十万円
- 契約解除による再売却の手間・時間
これらのリスクを考えると、事前に5〜7万円で安心を買う方が、結果的に得策と言えます。
また、不動産売却にかかる費用全体を把握しておくことで、インスペクション費用が全体の中でどの程度の割合かを理解できます。
あなたの空き家に必要かどうか判断するために
ここまで読んで、「自分の空き家にインスペクションは必要なのか?」と考えている方も多いでしょう。
以下のチェックリストで、ご自身の状況を確認してみてください。
セルフチェックリスト
- [ ] 築30年以上の木造住宅である
- [ ] 雨漏りや床の傾きなど、気になる箇所がある
- [ ] 売却後にクレームが来ないか不安
- [ ] 買主が住宅ローンを利用する予定
- [ ] 適正価格で売却したい(安く買い叩かれたくない)
判断の目安
- 3つ以上該当:インスペクション実施を検討する価値あり
- 1〜2つ該当:不動産会社に相談して判断
- 0個:現時点では不要の可能性(ただし買主の要望次第)
特に、「築30年以上」かつ「売却後のトラブルを避けたい」という方には、インスペクションの実施をお勧めします。
また、古い家の売却方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
まとめ:インスペクションは「保険」のようなもの
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
インスペクションは、「やらなければならない」ものではありませんが、「やっておくことで得られる安心と信頼」は大きいです。
特に以下のような方には有効です:
- 築年数が経過した空き家を相続された方
- 売却後のトラブルを避けたい方
- 家族に納得してもらいたい方
- 「業者の言いなり」ではなく、自分で判断したい方
インスペクションは、「知識武装」と「リスク回避」の両方を実現する手段です。
5〜7万円という費用は決して安くありませんが、売却後に数十万〜数百万円のトラブルに巻き込まれるリスクと比較すれば、「保険」として妥当な金額と言えるでしょう。
和歌山で30年以上、空き家問題に向き合ってきました
私たちは、以下のような姿勢でご相談に応じています:
「無理に売る必要はありません」
「まずは、あなたの状況を整理することから始めましょう」
インスペクションについても、メリット・デメリットを正直にお伝えします。
同じような悩みを持つ公務員の方からのご相談も多く、「急がず、納得してから進める」サポートを心がけています。
- 「インスペクションをすべきか迷っている」
- 「信頼できる業者を紹介してほしい」
- 「そもそも売却すべきか相談したい」
どんな小さな疑問でも構いません。まずは、お気軽にご相談ください。
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インスペクションについて理解が深まったら、以下の記事も参考にしてください:
- 不動産の正しい売却方法|完全ガイド
空き家売却の全体像を把握したい方向け - 間違うと大損!?不動産を売却する時の業者の正しい選び方
インスペクション業者や不動産会社の選び方を知りたい方向け - 空き家の固定資産税6倍!?知らずに損する相続の落とし穴
固定資産税の負担について詳しく知りたい方向け - もう迷わない!不動産の売却を考える時の相談先の探し方
誰に相談すべきか迷っている方向け
最後に、もう一度お伝えします。
無理に売る必要はありません。まずは、正しい知識を身につけて、納得のいく判断をしてください。
あなたの空き家問題が、少しでも前に進むことを願っています。
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